
概要
セキュリティカメラに求められる重要な要素の一つが、暗所においてもクリアに撮像できる性能です。ソニーのSTARVIS™ / STARVIS 2™の技術を搭載したイメージセンサーは、人間の眼の感度を超えて、暗所における被写体の形をとらえるだけでなく、質感までもリアルに再現することができ、低照度でのモニタリングに大きな威力を発揮します。
STARVISおよびSTARVIS 2は共に、セキュリティカメラ用イメージセンサーのために開発された裏面照射型画素技術です。1μm2あたり、2000mV以上(カラー品、706cd/m2 光源撮像時、F5.6, 1s蓄積換算)の感度を有し、可視光領域に加え近赤外領域をもカバーして、高画質を実現しています。STARVIS 2はその性能に加え、単露光において、同画素サイズのSTARVISと比べて8dB以上の広ダイナミックレンジ(AD 12bit)を有しています。
*) STARVIS、STARVIS 2およびロゴは、ソニーグループ(株)またはその関連会社の登録商標または商標です。
技術解説
高感度の実現
STARVIS / STARVIS 2技術搭載イメージセンサーは裏面照射型のため、表面照射型のイメージセンサーとは異なり、配線や回路などの障害物の影響をうけることなく、より多くの光をフォトダイオードに集められるため、高感度を実現できます(右図参照)。
また、セキュリティカメラ用に開発した画素を採用しているため、暗所でも人間の眼や従来のカメラでは認識が困難な被写体の色・形・質感までを鮮明にとらえることができます(写真1参照)。
写真1 低照度性能比較(照度0.08lx)

従来型表面照射型のイメージセンサー

STARVIS技術搭載裏面照射型のイメージセンサー
STARVIS / STARVIS 2技術搭載イメージセンサーは、従来型表面照射型のイメージセンサーでは撮影が困難だった低照度の環境でも、色・形・質感・詳細を撮像できる。
撮影条件:Type 1/ 2.8, F=1.4, Exp. 1/30s, Frame rate 30 fps, Gain 48dB, With IRCF
近赤外領域(NIR)での撮像性能について
通常のカメラは可視光領域での撮像を前提としていますが、セキュリティ用途では近赤外領域(NIR:Near Infra-red)での撮像性能が求められる場合があります。ソニーのセキュリティカメラ用イメージセンサーの現行機種は全て、完全な暗所では近赤外光の照射により高品質なNIR撮影を行うことができます。写真2は、同じ0ルクスの撮影条件下で可視光用イメージセンサーとNIR対応のイメージセンサーで撮影した画像を比較したものです。
なお、ソニーはSTARVISのNIR機能をさらに強化し、NIR領域において従来よりもさらに低ノイズでクリアに撮像できる改善版を搭載した機種を商品化しました。写真3は、従来版と改善版のNIR撮像性能を比較したものです。搭載機種に関する詳細はこちらでご確認ください。
写真2 可視光用イメージセンサーとの比較

可視光用(近赤外感度向上非対応)イメージセンサー

近赤外撮像性能の高いイメージセンサー IMX585
0ルクス、850nmの近赤外領域の照明で撮影した場合、可視光用イメージセンサーではほとんど撮像できませんが、STARVIS 2技術搭載の近赤外対応イメージセンサーIMX585では、形はもちろん、明るさの濃淡、はかりの文字まで撮像することができます。
撮影条件:F=1.6, Exp.=33.3msec, Gain=0dB, 850 nm
写真3 NIR機能 従来版と改善版の比較

近赤外対応(従来版) IMX415

近赤外対応(改善版) IMX515
撮影条件:F=1.6, Exp.=33.3msec, Gain=0dB, 850 nm
ハイダイナミックレンジ機能(HDR機能)について
固定設置されているセキュリティカメラは、時間帯や状況によって変化する光の条件に合わせて、カメラ側で撮影条件を最適化し続ける必要があります。また、映像内に明るすぎる部分と暗すぎる部分が共存するシーンでは、明るすぎる箇所は白飛びし、暗すぎる箇所が黒つぶれを起こすことがあります。ソニーのセキュリティカメラ用イメージセンサーには、こうした状況で被写体全体を鮮明にとらえるために、露光時間またはゲインを調整し、白飛びや黒つぶれしない画を撮像するハイダイナミックレンジ機能(以下HDR機能)が搭載されています(写真4参照)。
写真4 HDR機能による白飛びの軽減

HDR機能 オフ
背景が明るすぎて白飛びし、被写体を認識できない。
HDR機能 オン
白飛び軽減により、被写体の色や形を認識できる。
STARVIS/ STARVIS 2には現在、DOL HDR(Digital Over-Lap High Dynamic Range)とClear HDRという2種類のHDR機能があります。STARVISはDOL HDR、STARVIS 2はDOL HDRに加え、Clear HDRにも対応しています。
DOL HDR機能
DOL HDRがオンの場合、イメージセンサーは、暗所に合わせて露光時間を長く設定した画像データと、明所に合わせて露光時間を短く設定した画像データを、若干の時差で取得して出力し、それを後段処理で合成します*1。暗所と明所それぞれに最適な画像を撮像してから合成するため、単露光時よりダイナミックレンジを確保した画像を取得することができます。この方法では、特に動きの少ない被写体を撮像する際に効果が得られます。ただし2枚の画像にわずかな時差があるため、速い動きの被写体の撮影時には、動いた箇所に色ずれなどのアーティファクトが生じることがあります(写真5 左参照)。
Clear HDR機能
Clear HDRがオンの場合、イメージセンサーは、暗所に合わせてゲインを高く設定した画像と明所に合わせてゲインを低く設定した画像を、同時に取得して出力し、それを後段処理で合成します*1。暗所と明所それぞれに最適な画像を撮像してから合成するため、単露光時よりダイナミックレンジを確保した画像を取得することができます。この方法では2枚の画像が同時に取得されているので、動きのある被写体でも色ずれなどのアーティファクトのない画像(写真5 右参照)を撮像することができます。こうした高画質な画像はAI処理などにも適しています。
*1) 最終映像にするためには、それらの出力をカメラ側で合成する必要があります。IMX585ではClear HDRの際、内部合成が可能です。
写真5 DOL HDRとClear HDR高速被写体での比較

DOL HDR

Clear HDR
上の2枚の画像は、同じメトロノームの動きをDOL HDR機能とClear HDR機能を使って撮像し、比較したものです。いずれも、明るい背景のディテールをとらえながら、暗所のメトロノーム先端の文字「S」を撮影することができています。その上で、DOL HDRでは振り子の絵に色ずれが生じていますが、Clear HDRには色ずれはありません。
活用事例
施設モニタリング
商業施設、金融関連施設、空港等の施設の防犯対策には、セキュリティカメラが広く使われています。
大勢の人が行き交う環境においては高解像度や広い視野角を備えたセキュリティカメラ、また施設消灯後のセキュリティ対策としては暗所での撮像性能に優れたセキュリティカメラが求められます。
ソニーは、さまざまなタイプのセキュリティカメラ用イメージセンサーをラインアップし、これらの要望に応えます。
関連する分野

市街モニタリング
市街環境における安全維持においてもセキュリティカメラは広く使われています。
施設内と比較すると、周囲の明るさに大きな変化がある屋外環境での使用となるため、高い撮像性能が求められます。ソニーのイメージセンサーは、低ノイズ性能と高感度特性が重要になる夜間の撮影、明暗入り混じった複雑な照明環境下でも白飛び、黒つぶれを防ぎながらの撮影など、人の眼を超える高度な撮像特性を備え、暮らしの安全維持に貢献します。
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交通状況モニタリング
交通量の把握以外にも、渋滞検知、事故検出、逆走検出、車両識別など、さまざまな交通状況を検出する用途でセキュリティカメラは使用されています。主に照度条件などが厳しい屋外環境下での使用となるため、低照度性能と広ダイナミックレンジに優れるソニーのイメージセンサーが活躍します。
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ドライブレコーダー
事故状況の記録や近年問題となっている煽り運転の記録/防止用に、ドライブレコーダーの需要が急激に高まっています。
ソニーのイメージセンサーは高感度・低ノイズ技術と広ダイナミックレンジ技術により、昼夜問わず映像の撮り逃がしを防止します。
関連する分野

ホームセキュリティ
自宅の防犯・安全強化にもセキュリティカメラ用イメージセンサーは使われています。長期不在時の空き家対策、高齢者や子供の見守りも含め、その用途は多様です。ソニーのイメージセンサーなら、屋外環境の様々な条件下で、被写体を鮮明に映し出すことが可能です。
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関連製品&ソリューション
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イメージセンサー
セキュリティカメラ用イメージセンサー
この技術を搭載したセキュリティカメラ用イメージセンサーの製品情報はこちらです。
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STARVIS / STARVIS 2 ロゴについて


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対象製品:STARVIS / STARVIS 2技術搭載のソニー製CMOSイメージセンサーを採用したお客さまの製品
対象媒体:対象製品の外箱、カタログ、ポスター、商品紹介Web等の販促用資料、または、展示会での造作物(パネルなど)
・ロゴは、製品本体、システム(アプリ画面内等を含む)には、ご使用いただけません。
・ロゴ使用同意書の取り交わし前に、事前審査を実施します。結果のお知らせは非公開とさせていただきます。
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