概要
STARVIS技術
人々に安全・安心と便利さを提供し、社会に豊かさをもたらすため、認識機能の限界に挑戦して実現した超高感度を特徴とする技術がSTARVISです。
人間の眼の感度を超えて、暗闇でも物体の形や色を認識し、必要な情報を正しく得ることで、社会の安全・安心をサポートします。
STARVIS 2は、STARVISを進化させて誕生した、
より広いダイナミックレンジに対応した技術です。技術解説
人間の眼を超える超高感度性能
イメージセンサーは、光を捉えて電気信号に変え、画像などのデータにする役割をしています。暗所でも正しく写せることは、イメージセンサーの大事な性能の一つです。暗闇ではかすかな光しかないため、いかにわずかな光を逃さずに捉え、ノイズを入れずに無駄なく電気信号に変えられるかが重要です。
STARVISは街灯のない路地裏のような暗闇でも、わずかな光を捉えてノイズを抑えながら電気信号に変え、被写体の色や形をリアルに再現することができる技術です。
高感度を実現する技術
光はカメラのレンズを通り、イメージセンサーに入ってきます。光は、フォトダイオードで電気信号に変えられます。高感度を実現するには、このフォトダイオードに光を無駄なく集めることがポイントです。
イメージセンサーではフォトダイオードの配置が感度に大きな影響を与えます。表面照射型と呼ばれる構造では、フォトダイオードが配線層の下にあります。そのため光がフォトダイオードまで到達するまでに配線層で反射されたり吸収されたりしてしまい、感度が落ちてしまうという課題がありました。それに対し裏面照射型と呼ばれる構造では、フォトダイオードを配線層の上に置いています。配線層で光が失われないため、フォトダイオードに入ってくる光を大幅に増加させることができます。これにより感度が約4.6倍*1向上しました。
また、光を集めるオンチップレンズとフォトダイオードの距離が近くなったことで、より斜めからの光もフォトダイオードに入ってくることができるようになり、F値の小さい明るいレンズと組み合わせることでさらに暗所での撮像性能を向上させることができます。
*1) セキュリティカメラ用イメージセンサーIMX236(表面照射型構造)とIMX585(裏面照射型構造)の比較
低ノイズを実現する技術
イメージセンサーは、光をフォトダイオードで捉えて電気信号に変え、デジタル値として画を出力します。暗い画像に対しては、信号を増幅する(ゲインをかける)ことで、明るい画像にすることができます。しかし電気信号にはノイズが入り、一緒に増幅されてざらざらした画像になってしまうことがあります。
ソニーが開発したSuper High Conversion Gain技術は、光が電気信号に変換された直後のまだノイズが少ない状態の時に信号を増幅することで、その後に載るノイズを相対的に小さくすることができる技術です。従来技術に比べて、ノイズの影響を抑えて電気信号を増幅することができるため、暗所でも低ノイズの画像を取得できます。低ノイズの画像は、目視やAIによる認識精度の向上にもつながります。
人間の眼に見えない光を捉える
スマートフォンのカメラや一眼レフカメラなどに搭載されているイメージセンサーは、通常は私たちが見たままの光(可視光)を再現するように作られていますが、セキュリティカメラなどのイメージセンサーには、人間の眼では見えない近赤外光(NIR: Near-Infrared)も再現できるものがあります。
夜間の住宅街や高速道路など、光が生活の邪魔をしたり危険を誘発する恐れがあるような場面においては、近赤外光照明を利用することがあります。
STARVIS技術は近赤外光下でも 鮮明に撮像することができます。イメージセンサーの近赤外光の感度が十分高ければ、近赤外光の照明を抑えることができ、照明の発熱や消費電力を削減できます。
近赤外光(NIR)感度の向上
近赤外光は可視光よりも長い波長を持っています。フォトダイオードの材質がSi(シリコン)の場合、青など短い波長はフォトダイオードの表面付近で吸収され、緑、赤と波長が長くなるにつれフォトダイオードの深いところで吸収されるという性質があります。フォトダイオードをより深くすることで、近赤外光の吸収率を高めています。
さらにSTARVIS 2はフォトダイオードの入射面に凹凸を設けることで光を回折させて、近赤外光の吸収率を高める工夫をしています。これらの構造により近赤外光の感度が大幅に向上しました。
白飛びしない機能
イメージセンサーは、全体が明るい時は光を取り込んでいる時間(露光時間)を短くして、フォトダイオードから光が溢れないように調整し、全体が暗い時は逆に光を取り込んでいる時間を長くして、フォトダイオードにできるだけたくさんの光が入ってくるように調整することで、シーンの明るさに応じた最適な画像を出力できます。
逆光やトンネルの出口など、とても明るい部分と暗い部分が共存するシーンでは、明るい部分が白く飛んでいたり暗い部分が真っ黒につぶれていたり、何が写っているかがよく見えないことがあります。明るい所から暗い所までよく見えることをダイナミックレンジが広いといい、それを実現する機能をHDR(High Dynamic Range)機能といいます。
DOL HDR
DOL HDR (Digital-Overlap High Dynamic Range)がオンの場合、イメージセンサーは、明所に合わせて露光時間を短く設定した画像と、暗所に合わせて露光時間を長く設定した画像を順に撮影し、それぞれを重ね合わせてHDRを実現します。
ただし2枚の画像にわずかな時間差があるため、速い動きの被写体の撮影時には、動いた箇所に輪郭のブレや色が変わるなどのアーティファクトが生じることがあります。
Clear HDR
Clear HDRがオンの場合、イメージセンサーは、明所に合わせてゲインを低く設定した画像と暗所に合わせてゲインを高く設定した画像を、同時に撮影して重ね合わせます*2。
この方法では2枚の画像が同時に取得されているので、動きのある被写体でも色ずれなどのアーティファクトのない画像になります。
Clear HDRは、セキュリティカメラはもちろん、 交通モニタリングやドライブレコーダーなど動きがある被写体を撮影する用途に適しています。
*2) 最終画像にするためには、それらの出力をカメラ側で合成する必要があります。IMX585ではClear HDRの際、内部合成が可能です。
STARVIS技術の進化
「見えない」があっては、日常の安心にはつながりません。STARVISは技術の限界にチャレンジし、人間の眼の感度をも超えてきました。それに留まることなく、人間の眼では感知できない赤外光や明暗差の厳しいシーンさえも捉えるべく、たゆまない進化を続けています。
構造の進化と性能の向上
表面照射型から裏面照射型にすることで超高感度を実現するSTARVIS技術は誕生しました。(高感度を実現する技術参照) その後もフォトダイオードを深く広くしたり、フォトダイオード間の壁の構造や材質を工夫したりなどすることで、より多くの光を捉えることができるようになり、感度及びダイナミックレンジは向上を続けてきました。改善はフォトダイオードや構造以外にも、オンチップレンズの集光性や透過率の向上、カラーフィルターの透過率の向上、光電変換効率の向上など多くあります。最適な材質の探求や研究開発および、ナノ単位での製造精度を追い求めて、日々進化しています。
STARVISおよびSTARVIS 2は共に、セキュリティカメラ用イメージセンサーのために開発された裏面照射型画素技術です。1μm2あたり、2000mV以上(カラー品、706cd/m2 光源撮像時、F5.6, 1s蓄積換算)の感度を有し、可視光領域に加え近赤外領域をもカバーして、高画質を実現しています。STARVIS 2はその性能に加え、単露光において、同画素サイズのSTARVISと比べて8dB以上の広ダイナミックレンジ(AD 12bit)を有しています。
STARVIS、STARVIS 2およびそのロゴは、ソニーグループ(株)またはその関連会社の登録商標または商標です。
活用事例
施設モニタリング
商業施設、金融関連施設、空港等の施設の防犯対策には、セキュリティカメラが広く使われています。
大勢の人が行き交う環境においては高解像度や広い視野角を備えたセキュリティカメラ、また施設消灯後のセキュリティ対策としては暗所での撮像性能に優れたセキュリティカメラが求められます。
ソニーは、さまざまなタイプのセキュリティカメラ用イメージセンサーをラインアップし、これらの要望に応えます。
関連する分野
市街モニタリング
市街環境における安全維持においてもセキュリティカメラは広く使われています。
施設内と比較すると、周囲の明るさに大きな変化がある屋外環境での使用となるため、高い撮像性能が求められます。ソニーのイメージセンサーは、低ノイズ性能と高感度特性が重要になる夜間の撮影、明暗入り混じった複雑な照明環境下でも白飛び、黒つぶれを防ぎながらの撮影など、人の眼を超える高度な撮像特性を備え、暮らしの安全維持に貢献します。
関連する分野
交通状況モニタリング
交通量の把握以外にも、渋滞検知、事故検出、逆走検出、車両識別など、さまざまな交通状況を検出する用途でセキュリティカメラは使用されています。主に照度条件などが厳しい屋外環境下での使用となるため、低照度性能と広ダイナミックレンジに優れるソニーのイメージセンサーが活躍します。
関連する分野
ドライブレコーダー
事故状況の記録や近年問題となっている煽り運転の記録/防止用に、ドライブレコーダーの需要が急激に高まっています。
ソニーのイメージセンサーは高感度・低ノイズ技術と広ダイナミックレンジ技術により、昼夜問わず映像の撮り逃がしを防止します。
関連する分野
ホームセキュリティ
自宅の防犯・安全強化にもセキュリティカメラ用イメージセンサーは使われています。長期不在時の空き家対策、高齢者や子供の見守りも含め、その用途は多様です。ソニーのイメージセンサーなら、屋外環境の様々な条件下で、被写体を鮮明に映し出すことが可能です。
関連する分野
関連製品&ソリューション
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イメージセンサー
セキュリティカメラ用イメージセンサー [製品]
この技術を搭載したセキュリティカメラ用イメージセンサーの製品情報はこちらです。
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STARVIS / STARVIS 2 ロゴについて
お客さまは以下の場合に限り、ソニーグループの承諾を得ることでSTARVIS / STARVIS 2のロゴを使用することができます。ロゴデータの提供にあたっては、ロゴ使用同意書の取り交わしを実施させていただきます。下部の「お問い合わせ」ボタンよりお問い合わせください。
対象製品:STARVIS / STARVIS 2技術搭載のソニー製CMOSイメージセンサーを採用したお客さまの製品
対象媒体:対象製品の外箱、カタログ、ポスター、商品紹介Web等の販促用資料、または、展示会での造作物(パネルなど)
・ロゴは、製品本体、システム(アプリ画面内等を含む)には、ご使用いただけません。
・ロゴ使用同意書の取り交わし前に、事前審査を実施します。結果のお知らせは非公開とさせていただきます。
・全てのお客さまのご要望にお応えできるとは限りませんのでご了承ください。
・ロゴの使用によって生じるいかなる事柄において、弊社は一切の責任を負いません。
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