概要
私たちの世界には、太陽光のような明るい物体から、星明かりのような暗い環境まで、明るさに関する非常に大きな幅(ダイナミックレンジ)が存在しています。
イメージセンサーは撮影可能なレンジが狭いため、人間の眼で見ることができる範囲そのままを撮影することはできません。明るい被写体をとらえようとすれば暗い部分が黒くつぶれ、暗い被写体をとらえようとすれば明るい部分が白飛びしてしまいます。また、サイズを小さくする必要があるスマートフォン向けのイメージセンサーは、光を捉える能力が低下するため、撮影可能な明るさの範囲がさらに狭まります。スマートフォンで逆光のような明暗差が大きいシーンを撮影すると、肉眼の見え方と異なる撮影結果になってしまうことがあるのはこのためです。
こうした明暗差(ダイナミックレンジ)の大きなシーンを撮影するための機能がHDR(High Dynamic Range)です。HDRモードでは、イメージセンサーの動作を変化させて明るさを自動調整することで、白飛びや黒つぶれを抑えた、肉眼で見ているものに近い写真撮影を可能にします。
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)のイメージセンサーは、露光制御技術と信号処理機能をセンサーに内蔵することで、センサー単体でのHDR撮影を実現。特に3露光撮影に対応したイメージセンサーでは、肉眼での見え方と同等の画像が得られることに加え、その効果を動画に対しても適用することが可能です。
技術解説
白飛びや黒つぶれを抑えて撮影
快晴の日に室内から屋外を撮影するような明暗差が大きいシーンでも、屋外が白飛びしたり、室内が黒つぶれしたりすることなく、明部と暗部の両方の情報を残すことができます。
夜の風景も実は明暗差が大きいシーンです。HDRを使えば、ライトアップの白飛びや影の部分などの黒つぶれを抑え、見たままを撮影できます。
センサー単体でのHDR撮影を実現
HDR撮影ではまず、シャッター時間を変えて明るさの異なる画像信号を撮影します。次に撮影した複数枚の画像をイメージセンサー上で1つのデータに合成することで、広いダイナミックレンジを持つ信号を作ります。その画像の輝度分布を基に明るさを調整する階調補正処理を行うことで、白飛びや黒つぶれを抑えた、人間が見たイメージに近い画像が得られます。
なお、3露光撮影に対応するQBCイメージセンサーは、同色4 つの画素を短時間露光と長時間露光とその中間の3つの露光条件で同時に撮影を行い画像を合成するので、肉眼同等のダイナミックレンジを実現することが可能です。
複数露光の撮影、合成処理、そして階調補正。SSS製イメージセンサーではこれら一連のHDR処理がイメージセンサーのロジックチップ内でリアルタイムに完結するため、動画に対してもHDR を適用することができます。
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