概要
TransferJet XはIEEE 802.15.3eをベースとした60GHzミリ波無線技術です。
技術解説
転送速度について
物理層転送モードは16QAMで5.1〜6.5Gbps。実効速度で5.0Gbpsの高速転送を実現しています。
1対1通信であるTransferJet Xは無線LANのミリ波規格であるIEEE802.11adと比べて物理層の冗長度を87%削減、伝送速度を40%向上させることに成功しています。さらに11adでは必要なランダムバックオフが不要で、帯域をより有効に活用できることも大きな特長です。実効速度では2倍以上の差がつくと予想されます。
接続時間について
本技術は1対1通信に特化することにより、接続までのプロトコルを大幅に簡略化。たとえばIEEE802.11adが「アクセスポイント」に接続しようとする時間のうちに、約1.4GBもの情報を送ることを可能にしました。
通信距離について
TransferJet Xでは、使用するアンテナによって通信距離やエリアを変更することが可能です。
①タッチアンテナ(通信距離:10㎝以内)
NFC(Near Field Communication/近距離無線通信技術)の高速版として利用できます。機器同士をタッチ(かざす)して転送を行います。最大実効速度は5Gbpsです。端末をタッチして映画をダウンロードしたり、ドローンの着陸時に高速にデータを転送することを想定しています。
②ゲートアンテナ(通信距離:10m以内)
通常の無線アンテナは、遠方界を用いるため、放射状に通信エリアが広がり、電波強度は徐々に弱まりますが、ゲートアンテナは近傍界を使用し、アンテナ幅のビーム状の通信エリアを作ることができ、電波強度も一定になります。
通信エリアが広がらないため隣のレーンや前後に干渉することもなく、通信エリアに入った端末のみと通信することが可能となります。こうした特性を生かし、ビルの入館ゲートや駅の改札などで使用することを想定しています。なお、通信速度はタッチ(近距離)に比べると落ちます。
③ スポットアンテナ(通信距離:2~3m)
タッチアンテナのようにタッチの必要がなく、ゲートアンテナのように大型のアンテナが必要ありません(①と②の中間の性能を持ちます)。両隣干渉が発生するものの、②と比べて通信エリアが広がるというメリットがあります。
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*) TransferJet および TransferJet ロゴは一般社団法人TransferJetコンソーシアムがライセンスしている商標です。
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