概要

産業機器分野においては、カメラを活用した検査の需要が高く、その検査内容の多様さもあって、イメージセンサーの性能に対する要望が年々高まっています。そうした中、紫外線(UV/Ultra Violet)の画像を撮影できるカメラのアプリケーションが増えています。UVイメージセンサー搭載のカメラは、UV照明および対応レンズを併用することで、可視光カメラでは得られない特殊な視覚情報を提供します。

UV光は可視光よりも波長が短いため、可視光では検出が困難な微細な傷、欠陥の検出などに応用されています。また、素材の異なる透明プラスチックは、可視光下では全て同じように見えますが、UVカメラでは明らかに異なる物体として撮像されます。この特性をいかし、UVカメラは材料選別の用途にも利用されています。

下図はUVの波長域を簡易的に示した図です。UVの波長域は可視光(400nm~780nm)より短く、10nm~400nmとされています。ソニーの最新のUVイメージセンサーIMX487はこのUV波長域の中でも産業用の検査などに適した200nm~400nmの波長に対応しています。以下、IMX487のイメージセンシング技術について解説します。

光の波長の図

光の波長(紫外線は 10nm ~ 400nm)

ソニーのUVイメージセンサーの紹介

技術解説

グローバルシャッター機能を搭載し高速なUV撮像を実現

ソニーの最新のUV波長域に対応したイメージセンサーIMX487は、独自の裏面照射型画素構造を特長とするアクティブピクセル型CMOSイメージセンサーグローバルシャッター画素技術Pregius S™(プレジウス エス)技術を搭載しており、被写体が高速で動く場合でも、動体歪みのない画像を提供することができます。

また、裏面照射型画素構造ではイメージセンサー内の配線レイアウトの自由度が高いことから、毎秒193フレーム(10bitモード時)という高いスペックを実現しました。この高速性により、リサイクル現場におけるUV波長を利用したプラスチックの素材選別など、高速性が求められる用途への応用も可能です。

Pregius™ / Pregius S™ 説明はこちら

UV撮影に特化した設計

イメージセンサー上部のガラスにUV透過率の高い石英ガラス、および画素のオンチップレンズにUV透過率の高い材料を採用し、UV撮影に特化した性能を実現します。(右図)

UVに特化した独自の受光部構造を採用し、高い感度性能を維持しながら低ノイズを実現します。(右図下)

IMX487の性能イメージ図と断面イメージ図
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IMX487の断面イメージ

IMX487の性能イメージ図と断面イメージ図

IMX487の断面イメージ

UVイメージセンサーの
活用事例

微細な傷や欠陥の検査

UVイメージセンサーは、様々な製造工程における欠陥検査に活用されています。UVは波長が短く、わずかな凹凸に対しても光が散乱するため、半導体パターンのような微細な対象の欠陥を検知することができます。また、肉眼では見えにくい金属部品などの傷も映し出すことができるため、製品や部品の外観検査にも用いることができます。
IMX487は高精細でありながら高感度・低ノイズ性能を実現しているので、精度の高い検査が可能です。

金属板の傷検査の比較画像

可視光で撮影した画像

可視光で撮影

UVで撮影した画像

UVで撮影

関連する分野

半導体製造 外観検査

透明樹脂の塗布状態検査

電子機器製造において、塗布樹脂材の品質検査にUVイメージセンサーを活用することができます。塗布樹脂材は無色透明の物質ですが、UV撮影することで、塗布樹脂材が塗られている箇所は黒く映り、塗られていない箇所は金属部分が反射して白く映るため、塗布ムラを瞬時に判別できます。

透明樹脂の塗布状態の画像比較

透明樹脂の塗布状態の画像比較画像
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※使用する樹脂材によっては、見え方が異なる場合があります。

透明樹脂の塗布状態の画像比較画像

※使用する樹脂材によっては、見え方が異なる場合があります。

関連する分野

電子機器製造

材料選別

UVイメージセンサーはリサイクルの現場でも活用が期待されています。可視光カメラでは透明なプラスチックやガラス類の材料ごとの選別は困難ですが、UVの吸収率は材料ごとに異なる場合があるため、UVカメラによるリサイクル現場での材料選別が可能となります。グローバルシャッター機能を搭載するIMX487は高速で動く被写体を確実にとらえられるので、材料選別機などにおける高速撮影に対応可能です。

関連する分野

リサイクル

材料選別

放電検査

電力設備における電線架線の劣化が進むと、放電現象に伴い劣化部分からUVが放出されます。UVカメラによる電力設備の観察は劣化箇所の特定などを容易にし、設備保守の自動化、省人化が進むことが期待されます。IMX487は約813万画素(有効画素数)を有する多画素のUVイメージセンサーであり、屋外での遠方や広域の検査への活用も可能です。

関連する分野

インフラ検査

放電検査

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非可視光の活用で広がる新しい世界 UVイメージセンサーの活用

UVイメージセンサーの応用事例を、原理の視点から5種類に分けてご紹介します。

UVイメージセンサー 概要

UVイメージセンサーについて2ページにまとめた情報です。

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