概要

ToF(Time of Flight)方式距離画像センサーは、XY方向の画像取得のみならず、Z方向の情報取得、つまり"三次元空間としてのセンシング"が可能です。これによって体積や立体形状を基にした検査、物の重なり判別など、従来の2D画像では判定が難しかった検査用途にもお使いいただけます。また、自動制御や衝突回避などの相対距離をリアルタイムに利用するアプリケーションへの展開も可能です。

産業機器分野では、製造ラインや物流システムをはじめ、農業や畜産のスマート化など、多くのアプリケーションで自動化・省人化の動きが急速に広がっています。小型で三次元情報を瞬時に取得できるToF方式距離画像センサーは、高まる認識・計測・自動化などのニーズに適したセンサーとして、多種多様な領域・用途での活用が期待されています。

iToF方式距離画像センサーの紹介動画

技術解説

遠距離の測距も可能なdToF方式と、高速かつ高解像度なiToF方式

ToF方式距離画像センサーは、レーザーやLEDといった発光源からの光を対象物に照射し、その反射光をセンサーで検出するまでの時間差を利用して対象物までの距離を測定します。反射光を検知するまでの時間差を計測するため遠距離の対象物も測定できるDirect ToF方式(dToF)と、反射光で発生した電荷を蓄積して発光との位相差を検出することで距離を測定するIndirect ToF方式(iToF)の2種類に分類できます。

Direct ToF方式(dToF)

光源から発せられ対象物で反射した光を検知するまでの時間差を計測します。画素にはSPAD(Single Photon Avalanche Diode)方式を用いています。入射した1つの光子(フォトン)から、雪崩のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用する画素構造で、弱い光でも検出することができます。そのため、遠距離の対象物の測定が可能です。IMX560などの当社製品は、Direct ToF方式を採用しており、遠距離まで広範囲の距離情報を高精度かつ低ノイズで取得できます。

dToF方式のイメージ図
dToF方式のイメージ図

Indirect ToF方式(iToF)

画素ごとに反射光で発生した電荷を蓄積して、発光との位相差を検出することで距離を測定します。従来のCMOSイメージセンサー構造を活用しているため、対象物の3D情報を高解像度で取得できます。IMX556/IMX570などの当社製品は、Indirect ToF方式を採用しており、特に近~中距離を得意とした高速かつ高解像度の3D情報を取得できます。

iToF方式のイメージ図
iToF方式のイメージ図

活用事例

物流における各種自動化

パレットや荷物の位置、サイズ、充填率の計測によるマテリアルハンドリングの効率化、AGV(無人搬送機)/AMR(自律搬送ロボット)やラストワンマイルロボットなどの移動体の衝突検知や外界状況認識など、ToF方式距離画像センサーならではのさまざまな用途で自動化に寄与することができます。

近~中距離で高解像度が求められる用途にはiToF方式距離画像センサーが適しています。屋内外を長距離で使用する用途にはSPAD ToF方式距離センサーが適しています。

関連する分野

物流

物流における各種自動化のイメージ画像

ファクトリーオートメーション

充填度による欠品管理、ロボットピッキングのための対象物位置検出などの自動化、現場作業者の作業モニタリングによる工程効率改善、危険区域への侵入検出による安全性確保など、さまざまなアプリケーションに活用できます。

関連する分野

食品・医薬品・化粧品製造

ファクトリーオートメーションのイメージ画像

商業・公共施設での人認識

二次元センサーでは判定の困難な人が密接に重なり合う場面でも、ToF方式距離画像センサーは容易に人認識が可能です。このため、店舗・空港・テーマパークなどの混雑状況の把握、自動ドアの高度な開閉条件認識や入退室管理などに活用いただけます。また、三次元的な人体のポーズ推定を行うことで店舗における顧客行動データ分析などに応用することができます。

関連する分野

研究・調査
安全モニタリング

商業・公共施設での人認識のイメージ画像

畜産・農業における収穫の支援

乳牛の自動搾乳機の支援、家畜の体形や歩き方、および飼料の残量のモニタリングによって、品質管理と生産性の向上に活用できます。農業分野では、三次元ピッキングによる果実の自動摘果・収穫や、周辺の三次元モニタリングによる農機具の自動運転などに寄与できます。

関連する分野

農業・畜産

畜産・農業における収穫の支援のイメージ画像

土木工事の支援

周辺状況のモニタリングによる運転者支援・自動化・安全性確保といった重機のICT化に活用できます。また、土木工事における土量や建設工事での施工状況、インフラの敷設状況などを三次元計測することによる工事進捗の可視化や記録などへの活用も期待されています。

人の立ち入りが危険な工事現場や危険地域、また屋内で、GPSなどの衛星測位システムによる位置測定ができない場所では、SPAD ToF方式距離センサーの活躍が期待されています。SPAD距離センサーは、周囲を測定することで、付近の3Dマップを容易に作成することが可能です。

また、SPAD距離センサーとRGBセンサーを組み合わせることで、RGB情報を持つ三次元データを取得することができます。このようなRGB情報をともなった3Dモデルは、工事の進捗確認や建築済みの建物の内覧などに活用できます。

関連する分野

重工業・プラント

土木工事の支援のイメージ画像

鉄道モニタリング

SPAD ToF方式距離センサーは、スマートインフラの分野でも大いに活躍します。たとえば、鉄道モニタリングでの活用が期待されています。
駅のホームや線路では外光の影響が大きく、ノイズも多いです。このような環境下で、長距離モニタリングが求められます。微弱な光も高精度にとらえるSPAD距離センサーは屋外の太陽光などの外光の影響に強く、さらに長距離を測定できるため、線路に人や物がいないか、車両のドアの開閉時に傘やカバンなどが障害になっていないかを確認・モニタリングする際に利用できます。

関連する分野

インフラ検査

鉄道モニタリングのイメージ画像

プライバシーに配慮したモニタリング

ToF方式距離画像センサーは人や物体を三次元情報として取得します。例えば介護施設においては、三次元情報を活用することにより、RGB画像を使うことなく、人物の存在や姿勢を正確に検知し、要介護者の転倒防止や事故の早期発見を可能にします。プライバシーに配慮した安全モニタリングへの応用が期待されています。

関連する分野

安全モニタリング

プライバシーに配慮したモニタリングのイメージ画像

資料ダウンロード

ToF方式距離画像センサー搭載カメラリスト

ソニーのToF方式距離画像センサーが搭載されたカメラの一覧はこちらからダウンロードできます。

IMX560-AAMV 製品概要

製品の概要や特長、仕様をまとめた資料です。

IMX556PLR 製品概要

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IMX570PLR 製品概要

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