
概要
ローリングシャッターとは、CMOSイメージセンサーの画素の読み出しの方式の一つです。ソニーは2009年に独自の高速で低ノイズのA/D変換技術を搭載した本格的なローリングシャッター方式のCMOSイメージセンサーを商品化して以来、絶え間なくその性能を進化させてきました。ここでは特に、その低ノイズと高感度の技術について説明します。
技術解説
低ノイズの技術
ソニーの産業用ローリングシャッター方式イメージセンサーの第一の特長である低ノイズは、主に2つの側面の技術から実現されています。1つ目はイメージセンサーの各「画素」のノイズ抑制技術です。ソニーが長年培ってきたイメージセンサーの画素構造の設計開発力と、高度な製造技術力により、光電変換や電荷の運搬時に画素内で生じるノイズを低いレベルに抑えています。
もう1つは、ソニー独自のカラムA/D変換回路です。この回路では、光電変換後の電荷を信号に変える際、A/D変換の前後で2回ノイズ除去を行っています。
高感度の技術
第二の特長である高感度は、そのイメージセンサーの構造技術により実現されています。ソニーの産業用ローリングシャッター方式イメージセンサーの受光部の構造は裏面照射型です。下図に示す通り、裏面照射型構造のイメージセンサー(右)は、金属配線部をフォトダイオードの下層に配置しており、表面照射型のイメージセンサー(左)に比べ、配線層の影響を受けないため、より多くの量の光を電子に変換できるため、高い感度を実現しています。
また、ラインアップの中には、セキュリティ用に開発された高感度技術STARVIS技術を搭載したイメージセンサーも含まれています。STARVIS技術は、上と同じく、裏面照射式構造をとっています。

活用事例
ディスプレイのムラ検査
ティスプレイの欠陥検査に大型イメージセンサーを活用する場合、検査画面の各画素の輝度を正確に測定し、欠陥やムラの有無を検査する必要があります。その精度を高めるためには、イメージセンサーの画素特性の均一性が求められます。ソニーの大型のローリングシャッター方式イメージセンサーは、高感度であるだけでなく、画素数が1億画素を超えるにもかかわらず暗時ノイズが低く、画素欠陥も少ないためこうした検査を高精度に行うことができます。
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デジタル顕微鏡
デジタル顕微鏡の用途では、イメージセンサーに対して、高感度・低ノイズと広ダイナミックレンジ、各画素の特性の均一性が求められます。ソニーのローリングシャッター方式イメージセンサーは画質の均一性が高く、可視光から近赤外線域に至るまで高い感度を持っているため、デジタル顕微鏡の観測精度の向上に貢献します。
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物流ラインの仕分け
物流ラインでは、荷物の仕分けの工程において、仕分けラインのスピードが高速でない場合にはローリングシャッター方式イメージセンサーが採用されるケースが多数あります。ローリングシャッター方式イメージセンサーは低ノイズで高感度の特徴を持つため、低照度の環境下での撮像にも適しています。大型のイメージセンサーを活用すれば、1m幅のコンベアを1台のカメラで撮像できるため効率的です。システム導入コストの抑制にも効果があります。
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航空写真
日中の限られた時間内に広域の航空撮影を行うためには、大型で多画素のローリングシャッター方式イメージセンサーが適しています。例えば4.2型の場合、1型のイメージセンサーの約17倍の面積の撮像を一度にできるため、短時間で効率的に広域を撮影することができます。
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