概要

一般的な液晶マイクロディスプレイにおいて高精細でありながら高コントラスト比、広色域、高速応答性を併せ持つことは困難です。しかし、反射型液晶マイクロディスプレイであるSXRD™(Silicon X-tal Reflective Display)はSi基板の表面に反射画素電極を配置し、その下に液晶駆動用の回路を配置しているため、原理的に高精細化が可能です。

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)の反射型液晶マイクロディスプレイは、独自のバックプレーン設計や画素電極プロセス技術、液晶・配向により、明るさを犠牲にすることなく、高精細で高画質な映像表示を実現します。

プロジェクター用表示デバイスに求められる性能
高輝度化 光を高透過・高反射することでで光の利用効率を高める
高精細化 多画素化により高精細・高解像の映像を表示する
小型化 投射レンズや光学メカの小型・軽量化を実現する
高コントラスト より引き締まった黒表示でメリハリのある映像を表示する
高耐光 強い光を照射してもデバイスの画質・特性を維持する
高耐久 長時間の使用を可能にする(メンテナンスフリー)

画素密度 53ppi

一般的な4K有機ELテレビのイメージ画像

一般的な4K有機ELテレビ
画素数 3,840×2,160(4K)
ディスプレイサイズ:83型

画素密度 643ppi

一般的なスマートフォンのイメージ画像

一般的なスマートフォン
画素数 3,840×1,644(SID規格に基づく)
ディスプレイサイズ:6.5型

画素密度 5,976ppi

一般的なプロジェクターのイメージ画像

一般的なプロジェクター
画素数 1,920×1,080
ディスプレイサイズ:0.37型

技術解説

バックプレーン回路設計技術<SXRD>

表示画質の高精細化は、表示デバイスの中により多くの画素を配列することで実現されます。そのために、ひとつの画素をいかに小さく、また画素の間隔をいかに狭くするかが高精細化のカギとなります。

一例として0.37型SXRDは対角0.37インチ (ディスプレイアスペクト比16:9)の四角形の中に、207万個(フルHDTV:1920H×1080V)の画素を配列しています。一つの画素サイズは4.25μm角、画素と画素の間は約0.2μmという非常に狭い間隔で配列されているため、メッシュ感(画素と画素の隙間による格子状の網目)のない滑らかな映像を実現しています。

一般的に、プロジェクター用マイクロディスプレイは、画素ピッチが狭いほど画素半導体素子への光漏れが起きやすく、光リーク電流が増加することで画質の悪化が生じやすくなりますが、SXRDは、遮光層の追加や画素構造の最適化により遮光特性を大幅に向上。強い光を入射しても、画質性能を維持することが可能です。

SXRD画素表面図と断面図
SXRD画素表面図と断面図
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現行品の遮光構造イメージ
現行品の遮光構造イメージ
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バックプレーン画素電極プロセス技術<SXRD>

一般的に、プロジェクター用マイクロディスプレイは画素ピッチが狭いほど画素間スペースによる光ロスや液晶配向乱れによるコントラスト低下が生じやすくなります。これに対し、SXRDは独自の画素電極作製プロセスにより、狭く平坦な画素間スペースを実現しています。これらの技術と無機配向技術を用いたノーマリーブラックモードなどの技術の組み合わせにより、高画質のプロジェクターが実現可能です。

バックプレーン画素電極プロセス技術のイメージ図
バックプレーン画素電極プロセス技術のイメージ図
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プロジェクター用高画質信号処理技術<システムIC>

SSS製液晶マイクロディスプレイでは、以下のような高画質化信号処理技術を用い、プロジェクターに求められる高画質化を実現しています。

①キーストン補正

キーストン補正はプロジェクター投影面内で任意形状に座標変換するための機能であり、3種類の座標変換機能を持ちます。

・ 斜めキーストン:射影変換による幾何変形
・ Warping:画面端ベクトル設定によるピン樽型などの補正
・ Moving Vector補正:最格子ベクトルによる任意変形

キーストン補正のイメージ画像

②エッジブレンディング

エッジブレンディング機能は画面端に信号処理を行い輝度を落とすことによりプロジェクター製品のタイリングを実現します。また、ホワイトバランス調整処理、輝度むら補正を行うための画面端オフセット処理、タイリングしない部分に対する黒輝度オフセット処理が可能です。

エッジブレンディングのイメージ画像

③幾何補正

幾何補正機能は、投影面が曲面でも歪みの無い映像に補正することができます。エッジブレンディング機能と組み合わせることで、プロジェクターの設置自由度を高めることが可能です。

幾何補正のイメージ画像

④6色軸調整カラーマネジメント

6色軸調整カラーマネジメントは、入力像信号に対し、6色軸(RGBMYC)それぞれで独立して色相・彩度・明度を調整することが可能なカラーマネジメント機能です。

・各軸で色相、 彩度、明度を調整
・色相は各色-22.5°~+22.1484375°の範囲で調整
・彩度は各色1.0倍を基準とした-1.0~0.984375倍の範囲で調整
・明度は各色-12.5%~12.109375%の範囲で調整
・隣接色の軸以内での調整範囲ゲイン
・各色色相、彩度、明度はそれぞれ最大7段階まで、明度レベルを分けて設定可能
・無彩色の明度調整機能
・パターン表示機能

6色軸調整カラーマネジメントのイメージ画像

関連製品&ソリューション

商標について

SXRDおよび SXRD はソニーグループ株式会社またはその関連会社の登録商標または商標です。

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