Sマウント対応・高解像度・近赤外感度向上
1/3.1型 約320万画素 グローバルシャッターイメージセンサー
IMX900
AMR(自動搬送ロボット)など組込みビジョン用途に最適
概要
IMX900は、2.25μmの微細画素を採用し、対角5.81mmの1/3.1型でありながら有効約320万画素の高解像度を実現したイメージセンサーです。
小型・高解像度のイメージセンサーを使用することで、広範囲の撮像が小さなカメラで可能となり、カメラコストやシステム設置スペースなどの課題解決に貢献します。また、IMX900は斜入射特性を大幅に改善し、近赤外(NIR: Near-Infrared)感度も向上しています。これにより、レンズ設計自由度の向上に貢献し、近赤外照明を利用する検査などでは認識精度の向上が可能となります。さらに、Fast AE(自動露光制御)やQuad HDR(ハイダイナミックレンジ)、Quad Shutter Control(4分割シャッター制御)など、多くの機能を搭載しており、後段処理の負荷を軽減しながら最適な撮像をサポートすることが期待されます。
このような特長を持つIMX900は、物流市場におけるバーコード認識用小型カメラや製造ラインのロボットピッキング用カメラ、搬送作業を人に代わって行うAGV(無人搬送装置)/AMR(自動搬送ロボット)など、搭載製品の小型化と高性能化が期待されているさまざまなアプリケーションにおいて優れた性能を発揮します。
IMX900 特長編(音声あり)
IMX900 機能編(音声あり)
特長
小型化・多画素化
2.25μmの微細画素の採用により、産業用カメラとして広く普及しているSマウント(M12)に収まる1/3.1型のグローバルシャッター方式において、有効約320万画素の高解像度を実現しました。小型パッケージによる豊富なレンズ選択肢で多様な撮影ニーズに対応し、高品質な画像を提供します。
斜入射特性の大幅な向上
斜入射特性は角度を付けてイメージセンサーの画素に入射した光に対する集光特性です。Pregius S™技術をベースに開発した独自の画素構造を採用したことで画素の開口率が上がり、斜入射特性を大きく向上させることに成功しました。これにより採用するレンズの選択肢や設計自由度も広がり、利用可能なアプリケーションの拡大に寄与します。
近赤外領域における大幅の感度向上
新開発の画素構造により、近赤外領域(850nm)では従来比*で約2倍となる感度を実現しました。近赤外照明を利用する製品検査やAGV(無人搬送装置)/AMR(自動搬送ロボット)などのユースケースでも利用可能です。さらに、赤い波長の感度も向上しているため、赤色照明を使用するコードリーディング用途にも適しています。
* 当社の1/2.9型有効約158万画素CMOSイメージセンサー『IMX296』との比較。
後段処理の負荷を軽減できる機能搭載
後段の画像処理に伴う負荷を軽減、および認識精度を向上させるため、利便性の高いオンチップ機能を搭載しています。これにより、搭載カメラの設計効率化やコスト削減、認識精度の向上に貢献します。
Fast AE (Auto Exposure) 機能
撮像する一瞬前に解像度を間引いた画像を取り込むことで、高速に最適な露光時間を算出、設定可能な“Fast AE”(自動露光制御)機能を実現しました。この機能を活用することで、照明環境の変化や、撮像対象までの距離が変わった場合でも、常に最適な露光時間で撮影することが可能です。
Quad HDR (High Dynamic Range) 機能
2x2の4つの画素単位で個別に露光時間を設定し、短時間露光と長時間露光などの露光条件を組み合わせて同時に撮影することで、広いダイナミックレンジでの撮像を実現できます。金属パーツやゴムなど、反射率の異なる素材の撮影に非常に有効です。
* HDR合成機能は搭載されていないため、後段で合成する必要があります。
* IMX900-AMR(Monochrome)のみ対応、IMX900-AQR(Color)は対応しておりません。
Quad Shutter Control 機能
2x2の4つの画素単位で個別にシャッタータイミング、露光時間を設定することができます。個別に設定した各画素を4つのグループに見立て、タイミングをずらして撮像したこの4枚に限り、超高速での撮像を実現することができます。
高速撮像
最大フレームレートが117frame/s(10bit出力時、2024年6月時点)に達し、高速で移動する被写体を逃さずとらえることができます。検査ラインの高速化によるタクト改善や、高速撮像が必要な3次元用途に最適です。
技術
IMX900は、Pregius Sをベースに新たに開発した独自の画素構造を採用しており、さらなる積層構造の進化を遂げています。図に示されるように、従来フォトダイオードと同一基板上で配置されていたメモリー部を、別の信号処理回路領域に移動しました。これによりフォトダイオード領域を拡大することが可能となり、小さな画素サイズでも高い飽和信号量を維持できるようになりました。また、開口部が広くなったことで光の入射角をより広く取ることができ、斜入射特性が劇的に改善されています。さらに、フォトダイオード領域を厚膜化することで、近赤外領域における感度も大幅に向上しています。
この製品群に搭載されているグローバルシャッターの技術情報はこちらです。
スペック
製品名 | IMX900-AMR/AQR | |
---|---|---|
イメージサイズ | 対角5.81 mm (1/3.1型) |
|
有効画素数 | 2064(H)× 1552(V) 約320万画素 |
|
ユニットセルサイズ | 2.25 μm(H)× 2.25 μm(V) | |
フレームレート | 全画素読出し |
8bit 125 frame/s 10bit 117 frame/s 12bit 72 frame/s |
電源電圧 | アナログ | 2.9 V |
デジタル | 0.8 V | |
インターフェース | 1.8 V | |
シャッターモード | グローバルシャッター | |
出力インターフェース |
MIPI4 Lane SLVS4 Ch |
|
カラーフィルター | Monochrome/Bayer | |
パッケージ | Ceramic Package(LGA) Size 12.0 mm × 9.3 mm |
|
製品概要PDF | IMX900-AMR(Monochrome) IMX900-AQR(Color) |
* 数値は予告なく変更する場合があります。
活用事例
コードリーディング
物流の業界では、バーコードの識別により分類の自動化が行われており、精度とスピードの向上が求められています。グローバルシャッタ―方式イメージセンサーは、高速で動くバーコードを歪みなく撮像できるため、この分野に適しています。
昨今では2次元バーコードの採用も増加しているため、より高解像度の小型センサー需要が増加しています。IMX900は、Sマウント(M12)に対応できる小型光学サイズでありながらも高解像度を実現しており、小型化や高速化が進むコードリーディング領域に適しています。
関連する分野
ロボットピッキング
生産自動化の拡大に伴い、工場内の省スペース化や設備導入の簡素化を図るため、ロボットアームを使った部品のピックアップが急速に増加しています。
小型イメージセンサーIMX900は高速・高解像度の撮像が可能なだけでなく、上述のQuad HDR機能を搭載しており、環境の変動に強い特性を持っています。これにより、ロボットピッキング分野でのステレオカメラ方式や縞投影方式等、幅広い用途でご利用いただけます。
関連する分野
自動搬送機(AMR/Autonomous mobile robot)
大きな物流倉庫や工場内では、目的地まで人に代わって荷物を搬送する自動搬送機のニーズが高まっています。これまではガイド付きの搬送機が主流でしたが、近年はガイドを必要としない自律走行式のAMRが注目を集めています。
IMX900は、高速に最適な露光時間を調整するFast AE機能やハイダイナミックレンジを実現するQuad HDR機能を搭載しており、変化する環境下においても常に最適な条件で撮像することが可能です。
関連する分野
資料ダウンロード
IMX900-AMR(Monochrome)製品概要
製品の概要や特長、仕様をまとめた資料です。
IMX900-AQR(Color)製品概要
製品の概要や特長、仕様をまとめた資料です。
ファクトリーオートメーションにおけるマシンビジョンの役割とイメージセンサーの選び方
産業用イメージセンサーは、さまざまな生産工程をモニタリングする「眼」です。その選び方のヒントをご紹介します。
関連製品&ソリューション
-
イメージセンサー
グローバルシャッター方式イメージセンサー
この技術を搭載しているグローバルシャッター方式イメージセンサーの製品情報はこちらです。
関連コンテンツ
購入相談・問合せ
ご購入先を探す
仕様書や見積もりを依頼する
お知らせ
メール配信の登録産業用およびセキュリティカメラ用イメージセンサーの製品・技術、イベント、サービスなどの情報をお届けします。