水を使う企業だからこそ、水を地域へ返す ―― 20年以上にわたり、地域とともに水を育む。ソニーセミコンダクタソリューションズグループの取り組み特集サムネイル

サステナビリティ

環境

水を使う企業だからこそ、水を地域へ返す ―― 20年以上にわたり、地域とともに水を育む。
ソニーセミコンダクタソリューションズグループの取り組み

2026.07.13

半導体の製造に欠かすことのできない水。
同時に、水は地域の暮らしや農業、産業を支える大切な共有資源でもあります。
ソニーセミコンダクタソリューションズグループ(以下、SSSグループ)において半導体の開発から量産を担うソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社 熊本テクノロジーセンター(以下、SCK熊本テック)では、2003年度から20年以上にわたり、地域と連携した地下水涵養に取り組んできました。

その原点にあるのは、「使った水は、地域に返す」という考え方です。
半導体の製造に水を使用する企業として、水使用量の削減や工場内での再利用に取り組むだけでなく、事業活動を支える水資源を、地域とともに守り続ける姿勢を大切にしてきました。
この記事では、半導体と水の関係、SCK熊本テックが地下水涵養に取り組んできた背景、そしてSSSグループの水資源に対する考え方をご紹介します。

半導体を支える、水

半導体の製造には、水が欠かせません。半導体の回路は数ナノメートルほどのとても微細な構造で作られるため、製造工程の各段階で超純水を使用して洗浄し、不純物を極限まで取り除く必要があります。こうした水は、製品の品質や安定した生産を支える重要な基盤となっています。
※ 水中に溶解しているイオン類、有機物、生菌、微粒子などを含まない水のこと。

一方で、熊本県は古くから「水どころ」として知られ、人々の暮らしは豊かな地下水に支えられてきました。熊本市では、水道水のすべてを地下水で賄っており、都市としても非常に珍しい特徴を有しています。

熊本テックが位置する地域は、阿蘇の火山活動で形成された水を通しやすい地質が広がっており、「ざる田」と称されるほど地下への浸透性が高いことが知られています。
さらに、その下には「地下水プール」とも呼ばれる水を貯える地層が存在し、豊富な地下水資源を育んでいます。こうした自然の特性に加え、古くから整備されてきた用水路と水田の発達といった人々の営みが重なりあうことで、現在の豊かな水資源が支えられています。

半導体産業と地域の暮らし。
一見別々に見える両者は、実はどちらも「水」に支えられています。この共有資源を未来へつないでいくことは、SSSグループにとって地域社会との信頼関係を築くうえでも重要なテーマです。

日本企業でいち早く取り組んだ農地湛水による地下水涵養と、水を大切に使うものづくり

熊本テックが地下水涵養を開始したのは、2003年度です。
当時、熊本地域では、都市化や産業の発展に伴う宅地の増加などにより水田が減少し、地下水位の低下が懸念されていました。さらに、農業従事者の高齢化や担い手不足といった課題もあり、地下水を育む基盤そのものの維持が、地域にとって大きな課題となっていました。

こうした地域課題を、自社だけの問題ではなく、地域全体で取り組むべきものととらえ、熊本テックは、事業活動における水の効率的な使用に加え、地域の水資源を守る取り組みに参画することを決めました。それが、「地下水涵養」の取り組みです。

「使った水は、きちんと戻そう」をスローガンに、熊本テックは2003年度から日本企業として初めて農地湛水による地下水涵養を開始しました。

水田を利用した地下水涵養
拡大
水田を利用した地下水涵養
水田を利用した地下水涵養
水田を利用した地下水涵養

地域とともに、水を地下へ戻す

地下水涵養では、農家の方々の協力のもと、作付け前後の田畑に、白川から引いた水を張り、地下へと浸透させることで地下水に還元しています。この地域ならではの自然の力と、農地を守る人々の営みを生かすことで、地下水を育む取り組みが続けられています。
SCK熊本テックでは、2003年度の開始以来、日照りの影響を受けた2005年を除き、新規取水量を上回る規模で地下水涵養を行っています。この取り組みは、水を使用する企業として、地域の水資源に向き合い続けてきた姿勢を示すものです。

地下水採取量と地下水涵養量の推移
拡大
地下水採取量と地下水涵養量の推移
地下水採取量と地下水涵養量の推移
地下水採取量と地下水涵養量の推移

工場の中でも、水を大切に使う

SSSグループでは、地下水涵養に加え、事業活動における水使用量の削減や、工場内での水の再利用にも取り組んでいます。
熊本テックでは、生産ラインで使用した水を回収・再利用するなど、水をより効率よく使うための改善を継続しています。工場の設備や生産装置を見直し、ものづくりの現場を進化させることで、水使用量の抑制に努めています。
水を使う量を減らす。使った水をできる限り再利用する。そして、地域とともに地下水を育む。
SSSグループは、水資源を一方向に「使う」のではなく、事業活動と地域環境の双方を支えるものとしてとらえています。

半導体工場での水資源活用を紹介する図。節水、水のリサイクル、安全な排水管理の取り組みを示している
拡大
半導体工場での水資源活用を紹介する図。節水、水のリサイクル、安全な排水管理の取り組みを示している

20年以上にわたり続く活動と、広がる評価

地域一体となったこの活動は20年以上にわたり継続しており、環境大臣表彰(2022年)および地下水保全顕彰制度における最優秀グランプリ(2019年)の受賞に加え、環境省の環境白書にも取り上げられるなど、国内における水資源保全の先進的な取り組みとして評価されてきました。
さらに、当社の取り組みをきっかけに、地下水という自然資本に向き合う動きは、行政を中心に県内企業へも広がっています。

SSSグループの水資源に対する考え

半導体産業への関心の高まりとともに、水資源の利用に対する社会的な関心や懸念も大きくなっています。
SSSグループは、水を単なる事業活動に必要な資源としてではなく、地域の暮らし、農業、産業、そして自社のものづくりを支える共有資源であると考えています。

こうした考えのもと、従業員による涵養協力田での田植えを毎年実施するほか、涵養米を社員食堂で提供し、地域の農産物を販売する取り組みなどを通じて、社員一人ひとりが自然環境や地域とのつながりを実感できる活動も継続しています。
地域の豊かな水資源は、地域の暮らしを支えるだけでなく、私たちのものづくりを支える重要な経営基盤でもあります。だからこそ、水を守ることは環境保全活動にとどまらず、持続可能な事業運営を支える基盤を強化し、地域社会との信頼関係を育む取り組みであると考えています。

SSSグループはこれからも、水資源の保全に取り組み、持続可能なものづくりを支える経営基盤を強化するとともに、地域社会とともに成長し続ける企業をめざしていきます。

社員と家族が参加する田植えイベント
社員と家族が参加する田植えイベント
ページトップに戻る