【イメージセンサー世界シェア1位】
ソニー半導体、若手技術者が語る仕事のリアル
2026.05.11
AIや半導体への注目が高まり、理系人材の需要は幅広い業界で高まっている。売り手市場を背景に選択肢は増えたが、専門性を活かすべきか、違う道に進むべきか。伸びる産業はどこか、技術力のある企業をどう見極めるか──企業選びで悩みを抱える学生も少なくない。
一方、日本のものづくりを支える企業には、高い技術力や世界シェアを持ちながらも、まだ十分には知られていない魅力が数多く眠っている。
NewsPicks Student Pickerの学生2名が、イメージセンサー市場で世界シェアNo.1*を誇るソニーセミコンダクタソリューションズの若手技術者2名とともに、キャリアの道しるべを語り合った。
*) ソニー調べ。金額ベース。2024年実績
匂坂 知貴
大阪大学大学院基礎工学研究科修了。2021年ソニーセミコンダクタソリューションズ入社。モバイルシステム事業部でスマートフォン向けイメージセンサーの信号処理アルゴリズム開発に従事。2024年は中国に赴任し顧客の技術サポートに従事。
大橋 亜矢霞
北海道大学大学院工学院修了。2024年ソニーセミコンダクタソリューションズ入社。車載事業部で車載センサーを用いた自動駐車支援などADASのソフトウェア開発に従事。社内外への車載ソフトウェアデモなども担当している。
田中 皓雅
大学ではニューラルネットワークのモデル構造に関する研究を行っている。また、合わせて教育系スタートアップでのインターン生としても活動。
中村 省吾
大学の主専攻は水素エネルギー・燃料電池の研究。燃料電池(PEFC)の大型商用車への適用に向けた基礎研究に取り組む。副専攻として、災害時の非常用電源、エネルギーレジリエンスの観点から、水素技術の社会実装の可能性を模索中。
理系就職活動の最適解はどう導く?
―― 理系は専門性もあるし、研究室推薦もあるので就職活動が有利なのでは?
田中
それは一昔前のイメージかもしれません。昔のように「研究室に届いた推薦枠を成績順に選ぶ」というスタイルは、あまり見なくなりました。
今は理系学生もインターンに参加したり、企業研究をしたりして、志望企業を決め、エントリーシートを書いて選考に臨むのが一般的です。幅広い業界、企業を見て自分で選ぶ時代になっています。
僕は情報工学を専攻しているんですが、最近はDXの流れもあって、商社やコンサルティングファームからも声がかかる。理系の進路の選択肢はすごく広がっていると感じます。
中村
私は今大学院生で水素エネルギーを専攻しています。同じ研究室の学生でも就職する業界はバラバラです。就職活動の自由度が上がった一方で、キャリアをどう描くかを一人ひとり考えないといけないですよね。
田中
専門性を活かしたほうがいいのか、働き方とかワークライフバランス、自分の成長環境とかの軸で企業を選ぶべきか悩ましいです。
大橋
確かに難しいですよね。私は今社会人2年目なので、お二人の悩みは非常によくわかります。
私は大学院で量子理工学を専攻していて、放射線を産業分野に応用する研究をしていました。
就職活動では専攻とは全く違う領域も視野に入れて進め、現在はソニーセミコンダクタソリューションズの車載事業部でソフトウェア開発をしています。
「自分の専門はこれだから、この業界しか選べない」と可能性を狭めてしまうのはもったいないと思います。
研究で培った論理的思考力や、プロジェクトを遂行する能力は、どの分野でも活かせるはずです。企業も幅広い分野の人材を求めていますから、まずは視野を広く持ってほしいですね。
匂坂
学生時代に自分の好きなこと・興味を持てる分野をしっかり見つけておくと、幅広い選択肢の中から自分にあったキャリアを選ぶことができると思います。
私は大学時代に電磁波を使ったセンシング技術の研究をしていました。そこで培った知識や経験を活かしながら、世界規模の影響力を持つビジネスに貢献したいという想いから、現在はスマートフォン向けイメージセンサーの信号処理開発を担当しています。就職活動では、この想いを軸に、「グローバル」「技術開発」「成長環境」という3つの観点から企業研究を進めました。
匂坂
自己分析と業界分析のサイクルを回すことを意識していました。
まずは自分自身のことを深掘りして、こういうことがしたいんだろうなという仮説を作る。その仮説を持った状態で気になる企業の説明会に行ったり、インターネットで調べたりする。
すると、「本当に好きだったかな」「想像と違ったな」といった気づきが出てくるので、それをまたフィードバックして自己分析を深めていく。その過程で試行錯誤しながら軸を見つけることが大事だと思います。
大橋
自分の中にある価値観を見つめ直す作業は、できる限り時間をかけて取り組んでほしいですね。何がやりたいか、何をしているときに苦ではないか。それらを言語化しておくと、働き始めてからもキャリアを描きやすくなると思います。
私の場合は、ドイツの産業用ロボットの会社で技術営業としてインターンを経験したことが大きな転機でした。そこで製品の中身に深く関われないもどかしさを感じて、「自分で開発して、エンドユーザーの声を直接聞きたい」と思うようになりました。
そのインターン体験を振り返りながら自分の価値観を整理した結果、「エンドユーザーの反応が届く距離で、技術の中身に関われるかどうか」を軸に定めました。それで車載ソフトウェア開発という道に行き着いたんです。
今、半導体が“アツい”理由
中村
就職活動では自己分析に加えて、キャリアを考えるうえで欠かせないのが、業界研究です。どんな業界、どの企業が伸びるのかはキャリアの第一歩を選択する上でとても気になっています。
ソニーさんの半導体事業は、すごく注目されていると聞きますが、実際にどの分野が伸びているのか、将来性はどうなのか、知りたいです。
匂坂
半導体業界は今、もっとも成長している産業の一つです。背景にあるのは、AIの爆発的な普及です。生成AIが広がり、自動運転技術が進展し、IoTであらゆるモノがネットにつながる。こうした技術の基盤として、半導体が不可欠です。
半導体にはいろいろな種類があり、それぞれが異なる役割を担っています。計算処理を担うCPUプロセッサー、データを記憶するメモリ、AIの学習や画像処理に使われるGPU。各分野で技術革新が進んでいて、需要も急増しています。
匂坂
そのなかで、日本企業が強みを発揮している分野もあります。私たちソニーセミコンダクタソリューションズが手掛けているイメージセンサーもその一つです。光を電気信号に変換する、いわば「電子の眼」の役割を果たす半導体で、スマートフォンのカメラをはじめ、車載用カメラ、産業用ロボット、医療向けの内視鏡など、実に多種多様な分野で必要とされています。
弊社は、イメージセンサー市場で世界シェア5割超を占めており、世界No.1*です。なかでも、モバイル領域が成長を牽引しており、世界中のスマートフォンベンダーのお客さまに向けて、開発・設計・製造・販売までを一気通貫で行っています。そして、モバイル領域で培ってきた高い技術力をもとに、現在は車載向けや産業向けなど、他の分野にもセンシング技術の活用領域を広げています。
*) ソニー調べ。金額ベース。2024年実績
大橋
私が携わっている車載分野では、近年重要な技術となっている高性能な自動運転や運転支援システムを実現するためのイメージセンサーやソフトウェア技術が求められています。
ソニーセミコンダクタソリューションズでは、車外の対象物を正確に捉えるイメージセンサーなどのハードウェアに加え、それらで得た情報を基に最適な判断を下すソフトウェアの両面から開発に取り組んでいます。
私たちが、自動運転の安全・安心を支えるうえで掲げているのが、「Safety Cocoon(セーフティコクーン)」というコンセプトです。高度なセンシング技術によって、車を360度、繭(まゆ)のように包み込み、車両周囲の全方位はもちろん、ドライバーのコンディションなど、車室内の状況も注意深く見守り、安心・安全かつ快適な移動空間の創出を目指しています。
また、その先には、車内でゲームや映像を楽しむといったエンターテインメントの可能性も広がっていると考えています。「こんな機能があったらいいな」をそのまま形にできる未来に近づいていることを、日々実感しています。
田中
確かに、ソニーグループは近年、映画やゲーム、音楽といったエンタメにも力を入れている印象があります。グループ全体の戦略の中で、そういった半導体事業とエンタメ事業とのシナジーはあるのでしょうか。
匂坂
はい。イメージセンサーは、美しい映像制作を支える核心となる技術です。その進化が映像のクオリティを左右するだけでなく、映画制作などにおける新たな視覚表現の可能性を切り拓きます。グループ内のシナジーで、クリエイティビティとテクノロジーが掛け合わせられるからこそ、多くの人の感動を生み出すことができると考えています。
「技術で世の中を変えていきたい」を原動力に
匂坂
「技術で実現できたら面白そうと思うことがあれば、まずやってみる」という文化が強いですね。短期的な成果より、将来的に価値がある技術かどうかを大事にする。純粋に技術を追究したいという意欲を持つエンジニアが集まっています。
また、「半導体=電気系」という一般的なイメージに捉われず、情報系や機械系、化学系などあらゆる理系分野を専攻してきた社員や、他業界から転職してきた社員など、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が、互いの知識や経験を共有しながら研究・開発に取り組んでいます。こうした環境が多角的な視点を育み、社員の成長を後押しするとともに、独創的なアイデアや複合的な技術開発の強みにつながっています。
大橋
年次に関係なく、積極的に挑戦する機会を与えてくれる会社だという印象です。
私は入社半年で、「CEATEC」という国内最大級の技術展示会に出展する車載センシングソフトウェアのデモ開発を任されました。「来場者の方に車載のソフトウェアについて理解を深めてもらうためには、どのようなデモがよいのか」という視点で、中国拠点の開発メンバーと協力しながら、デモの開発からスケジュール管理、当日の来場者の方への対応まで、一連のプロセスすべてを担当したんです。
1年目でここまで裁量のある仕事を任せられるとは思わず、驚きました。プレッシャーは大きかったですが、来場された方から「今の技術ではこんなこともできるようになっているんだね」と言っていただけたときは、本当にやりがいを感じました。
田中
先ほど、自分の軸を持つことが大事だというお話がありました。ただ、入社してから軸が変わることもあると思うんです。入社後にキャリアの方向性を変えたり、新しいことに挑戦したりすることはできるんでしょうか?
匂坂
大事なのは、軸となる「没頭できる分野」を見つけることです。簡単には見つからないこともありますし、おっしゃるとおり入社後に変わる人もいます。自分と向き合いながら探し続け、没頭できそうな分野を見つけたら、まずはチャレンジしてみるというプロセスが大事なのではないでしょうか。
ソニーグループは、そうしたチャレンジを支える研修やキャリア支援制度も充実しています。たとえば「キャリアプラス」という制度では、今の業務を続けながら、興味のある別の業務を兼任することができるもので、社員が自らの興味や可能性を広げることを後押ししてくれます。
他にも、「海外販社研修」という制度もあります。海外の販売会社に1年間赴任して、現地でお客さまとやり取りしながら、その地域のリアルなニーズや市場動向、商文化などを学ぶことができる制度です。
私自身この制度を活用し、2024年に1年間中国に赴任しました。本社で技術開発をやっているだけでは見えなかった、お客さまが実際に求めていることを現地で直接聞くことができました。そうした生の声を開発にフィードバックすることで、より良い製品づくりにつながっていくと実感しています。
―― お二人の周りの方々を見たときに 、ソニーセミコンダクタソリューションズでは、どんな人が活躍していると思いますか。
匂坂
「ものづくりが好き」「カメラが好き」「プログラミングが好き」――そんな風に、何かに夢中になれる強い好奇心を持ち、技術開発への意欲が高い人たちが多いです。
「こんなことをやったら面白いんじゃないか」「新しい価値ある製品を通して世の中を変えられるんじゃないか」という想いを原動力に、失敗を恐れず挑戦し続けている人がソニーで活躍していますね。また、グローバルに活躍したい人にも向いています。イメージセンサーは世界中で使われている技術なので、海外のお客さまやパートナーとやり取りする機会も多いです。
大橋
専門分野にこだわらず、さまざまな学びを取り入れて成長したい人にもおすすめです。私自身、大学院の専攻とは異なる車載ソフトウェアに転向しましたが、多様なバックグラウンドを持つメンバーがいるので、自然と知識が広がっていきます。
ぜひインターンや説明会で実際に体験して、自分の軸を見つけてください。その過程でソニーにご興味を持たれたら、一緒にお仕事できることを楽しみにしています。