横田さんは本厚木にある厚木テクノロジーセンターにて日々業務を行っている。広大な敷地内には最先端の研究施設はもちろん、働きやすい環境が整えられている。
大学時代に熱中したラクロス部の活動。選手を支えるマネージャーとして、上位リーグ進出に貢献した。
プロジェクトの進行において、チームワークはとても大切。同僚や上司とのコミュ二ケーションは密にとり連携を図る。
〈お仕事item〉
【ワイレスヘッドホン『WF-1000XM5』】
「ノイズキャンセリング機能が優れていて、静かな環境で集中して作業したいときに重宝します。また、職場では音楽を聴きながら仕事をすることもできるので、YOASOBIやVaundyなど、テンションが上がる曲をよく聴いています。」
自動運転の未来を支える半導体設計を担うエンジニアの情熱
2025.01.22
自動車の自動運転技術に欠かせないセンサーの回路設計に従事する横田莉子さん。物理学への情熱から工学の道へと進み、最先端の技術開発に携わる。学生時代から培ってきた探究心と挑戦する姿勢で、テクノロジーの未来を切り開く若きエンジニアに話を聞いた。
横田莉子(YOKOTA RIKO)
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
車載事業部、ロジック設計エンジニア
1996年 埼玉県生まれ。学ぶことが好きで、自分から中学受験をしたいと両親にお願いした。
2009年 神奈川県 私立 フェリス女学院中学・高等学校入学。中高ではテニス部に所属。文武両道で部活も勉強も全力投球。
2016年 東京大学入学。高校時代は理学部物理学科志望であったが、世の中に応用する工学に魅力を感じ、工学部電気電子工学科に進学。その後の人生を変えることになる、半導体に出会う。
2020年 東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 修士課程に進学。
2022年 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 入社。若手エンジニアとして現在に至る。
自動運転技術の発展により、私たちの暮らしは大きく変わろうとしている。交通事故の減少、高齢者や障がい者の移動支援、渋滞の緩和など、その恩恵は計り知れない。この革新的な技術を支える重要な要素の一つが、センサーだ。周囲の状況を正確に把握し、瞬時に判断を下すために、高性能なセンサーが不可欠なのである。
そんな最先端の技術開発に携わるのが、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社で働く横田莉子さんだ。入社3年目の若手エンジニアながら、自動運転に用いられるセンサーの回路設計という重要な仕事を任されている。
「私が担当しているのは、車に搭載して周囲との距離を測るSPAD(スパッド)センサーの回路設計です。高精度な距離測定が可能な半導体センサーのことで、私はコンピュータ上でプログラミングを行い、センサーの論理回路を設計しています」
設計の過程では、創意工夫の余地が大いにあるそうだ。例えば、単に和をとるだけでも、一項ずつ順に足していく方式と、トーナメントのように足していく方式では、速度や回路の大きさが変わってくる。「同じ入力から同じ出力を得られても、その過程をどう設計するかで、処理時間や回路の大きさが変わります。そういった部分を自分で考えていくのが面白いですね。自分なりに考えた方法がうまくいった時は、やりがいを感じます」
文武両道の学生生活
横田さんの学生時代は、勉強だけでなく部活動にも力を入れた充実したものだった。中学・高校時代は硬式テニス部に所属し、大学ではラクロス部のマネージャーを務めるなど、常に文武両道の姿勢を貫いた。
「中高はずっとテニス部に入っていたので、部活が1番の思い出です。」
テニス部での思い出を尋ねると、「思い出すのは何気ないシーンだったりします。例えば、真夏の部活帰りにみんなでアイスを食べたこととか(笑)」
そんな何気ない日常の中で、横田さんは将来について考えを巡らせていたという。「学校の近くのみなとみらいによく行っていて、そこで将来のことを友人とたくさん話していました。その時の友達も今、本当にいろんな業界で活躍していて、中高からいい仲間に恵まれていたなと思います」
大学に入ってからは、ラクロス部のマネージャーを務めた。選手ではなくマネージャーを選んだ理由については、「データの分析をしたり、どういう風に効率よく運用すれば良いか考えたり、マネージメントの部分でチームに貢献するかたちが、自分に向いているなと思いました」と説明する。
その日々はなかなかハードだった。「土日を含む週5日間部活があり、平日は朝4時に起きて、始発の電車に乗って大学に行っていました。リーグ昇格の目標に向かって、チームで頑張っていて、4年生のときの引退試合でそれが叶いました。大変なことも多かったですが、ここまで来れてよかったなと心から思える瞬間でした」
多様な事業展開に魅力を感じて
大学院修了後、横田さんはソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社に入社。その理由を聞くと、「好きな半導体を仕事にできるというのも大きかったですが、ソニーグループが多様な事業を持っているところにも魅力を感じました」と語る。
「今は社会の変化が大きく速い時代だと思っています。大きな企業であっても、事業の柱が一つしかないと、変化の波に飲まれてしまうこともあります。ソニーグループは幅広い事業に取り組んでいるため、安心感がありました。」
横田さんの1日は、朝9時半から始まる。午前中は主に設計作業に集中し、午後には会議や打ち合わせを実施する。「会議では、設計内容についての議論をしたり、プロジェクト全体に関する進捗報告をしたりします」
入社3年目を迎え、横田さんは徐々に責任ある仕事を任されるようになってきたという。
「3年目になってかなり仕事を任せてもらえるようになったと感じています。設計の中の一つのブロック、一つのパートを任されていて、そこは横田さんが責任を持ってやってくださいね、と言われるようになりました」
センサー開発プロジェクトは、100人以上の人々が関わる大規模なものだ。そんな中で、横田さんは自分の担当部分に全力を注ぐ。
「まだ半人前ですが、チームの一員として認められていると感じられるのは嬉しいです」
プロジェクトの期間は製品によって異なるが、横田さんが設計者として関わる期間は通常6〜8ヶ月程度。「締め切りの直前が特に忙しくなります。ときには遅くまで仕事をすることもあります」と、忙しさの中にも充実感を覚える日々だ。
大学受験をめざす高校生の皆さんにメッセージ
最後に、受験生の後輩たちへのメッセージを聞いた。
「まずは自分の道を限定せずに、今興味のあることを突き詰めてほしいと思います。勉強だけではなく、習い事やクラブ活動を頑張ることも、中高生の時にしか体験できない貴重な経験だと思うので、そういったところも大事にしてほしいです」
そして、仕事をする上で大切なのは「自分で考える力」だと横田さんは強調する。
「与えられた仕事をこなすだけではなくて、どのようにプラスアルファの価値を出すかを考える力が求められていると思います。そういった力を身につけるには、いろんな人と関わって過ごすことも大切です。その力は中高生の時から身につけていくのがいいと思います」
高校時代の私へ手紙を書いてもらいました
自分の人生で最も自慢できることの1つが、人に恵まれていることです。家族や親戚はどんなときでもあなたを支えてくれます。中学・高校時代の友人は、多才で刺激を与えてくれる人たちばかりです。そして、これから大学生や社会人になってから出会う人たちも同様にみんな、あなたの人生を豊かにしてくれる、尊敬できる人たちです。そんな周りの人たちを大切に過ごしてほしいです。
これからの人生、上手くいかないこともあるかと思います。一見望みとは異なる道だったとしても、今の道が巡り巡って自分にとって一番いい道だと思ってください。そして、その場所でどうすれば自分が一番輝けるのか考えてみてください。今の私もまだまだ未熟ですが、人生何がどう転ぶか分からないと感じています。
そしてなによりも、自分のことを大切に過ごしてください。応援しています。
横田莉子
本記事は、2024年12月のTOSHIN TIMESに掲載されたものです。
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