innoDepX社 ToFセンサーによる
トラック積載量のリアルタイムモニタリング
用途:積載量モニタリング
国または地域:台湾
企業名:innoDepX
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トラック輸送は物流の中核を担う重要な役割を果たしていますが、さまざまな課題に直面しています。ドライバー不足やガソリン使用による環境負荷、物流トラックによる交通渋滞などがその例です。これに対して、自動運転技術の進展やトラックの電動化が期待されていますが、交通規制やインフラ整備が追いついていないのが現状です。これらの問題を解決するためには、配送効率の向上が一層求められており、最適なルート選定や高度な配送管理システムの導入が急務となっています。
ここでは、実際に輸送現場で活用されているTime of Flight方式距離画像センサー(以下、ToFセンサー)の事例について紹介します。
innoDepX社について
innoDepX社(以下、iDX社)は、台湾で創業されたハードウェアとソフトウェアを含む3Dデプスセンシングの総合ソリューションプロバイダーです。2015年から物流、産業、ロボティクス向けのAIベースの3Dビジョンソリューションに注力してきました。製品ポートフォリオは、汎用のデプスセンシングUSBドングル、組み込みAI RGB-Dビジョンシステム、ハイエンドのプロフェッショナルデプスセンシング機器までをカバーしています。
課題
配送状況のリアルタイム把握と効率的なルート計画
物流業界では、環境負荷の低減やトラックによる交通渋滞の解消といった課題があります。実際には、約20~35%のトラックが荷物を積んでいない状態で走行しているという調査結果があります。この問題は、トラックが荷物を満載して目的地まで運んだ後、帰路で空のコンテナを引いて戻るケースで顕著に見られます。さらに、トラックが配送先に荷物の一部を届けた後、空いたスペースを活用せずに走行することもあります。荷物の配送状況をリアルタイムで把握できなければ、途中で新たな荷物を積み込むなどの効率的なルート計画を立てることが難しくなります。
フリート管理*1を行うSaaS(Software as a Service)システムが発展していますが、現状ではトラックの位置をGPSで追跡し、燃料センサーを監視する機能に限られています。これらのシステムは配送が完了した後でのデータ分析には役立ちますが、荷物の積載状況をリアルタイムで把握し、それに基づいて運送計画を立てることはできません。また、配送ごとの実際の運送効率やコストを「マイルあたりの積載量」という形で評価することも難しい状況です。
*1)フリート管理とは、企業や組織が所有する車両群(フリート)を効率的に運用・管理することです。
ソリューション
CubiVision™による輸送効率の改善
iDX社は、数年の開発を経てAIベースの3Dカメラを用いたソリューション「CubiVision」を提案し、トラック輸送の効率課題を解決しています。このソリューションは、3Dでトラック内の荷物を測定するToFカメラ、AIによるデータ処理、そして無線通信(BLE、Wi-Fi、4G/5G LTE)を組み合わせたシステムです。
このシステムは、標準の40フィート(カスタマイズされたもので最大57フィート)までの距離をカバーし、トラック内の荷物の量をリアルタイムで検出して積載率を計算します。1台のToFカメラで荷物の3D距離情報を取得することができ、積載量を可視化します。RGBカメラと違い、ToFカメラは暗部でも撮影が可能なため、夜間や照明が少ないバース(積み下ろし場所)または走行中のコンテナ内でも照明が不要です。独自の光学システムにより、カメラの位置からコンテナの反対側までの長距離を死角なく感知できます。AIによるCubiVisionアルゴリズムは、3Dデータの詳細な解析と容積計算を行い、その結果を赤外線画像と共に無線通信を通じてクラウドに送信します。このデータにより、各トラックの積載状況、位置情報をリアルタイムで把握し、最適なルートを設定することができます。スマートなフリート管理により、運送効率が大幅に改善され、燃費コストが低減されます。
CubiVisionは、中国最大級のフリートマネジメントSaaSソリューションプロバイダーが既に採用しています。実際の物流現場での検証によると、運送効率が20%以上改善されました。
CubiVision は ISSA Technology Co., Ltd. の商標です。
CubiVision搭載センサー
iDX社が提供するこちらのカメラには、ソニーのiToFセンサー(1/4.5型 約30万画素)が搭載されています。このセンサーは、高感度かつ低ノイズの構造を持ち、配線層の多層化などによる高速な画素技術を用いています。集光効率の向上と測距のための高速な処理を可能にしたことで、正確かつ安定的な高い測距性能を実現しました。iDX社がめざす、物流とフリート管理の「スマート」「セーブ」「セーフティ」の実現に、当社の技術が貢献しています。
ソニーのiToFセンサーが採用された理由は?
ソニーのiToFセンサーが採用された理由は、同じVGA解像度の他の製品と比較して、最もノイズレベルが低かったからです。また、3つの変調周波数を組み合わせて使用することで、高い測距性能を実現しています。コンパクトな電気設計により、全体の光学機械システムの設計に大きな自由度が得られます。
innoDepX社のソニー製ToFセンサー搭載カメラCubiVisionとトレーラーへの設置例
「我々のアルゴリズムは、ソニーのiToFセンサーに強く依存しています。このセンサーは、高解像度、高精度、そしてSNR性能において業界最高水準の測距性能を持っています。20cmから17mまでの広範囲の検出が、iDXの光学システムおよび我々のAIベースのアルゴリズムであるCubiVisionに完全に適合しています。信頼性と効率性を兼ね備えたソニーのセンサーを採用し、最先端の技術を統合することで、優れたパフォーマンスとエンドユーザーの満足度を保証できることを嬉しく思います。」
Sharon Hsu(シャロン・フー)
共同創設者兼最高執行責任者
技術
ToFの技術情報はこちらです。
関連製品&ソリューション
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イメージセンサー
ToF方式距離画像センサー
このページで紹介したToF方式距離画像センサーの製品情報はこちらです。
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ToFイメージセンサー搭載カメラリスト
ソニーのToF方式距離画像センサーが搭載されたカメラの一覧はこちらからダウンロードできます。
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