概要
交通状況の把握と適切なマネジメントは、自動車が普及している国や地域はもとより、今後普及が見込まれる地域においても、避けては通れない共通の社会課題です。そうした中、最新技術の活用によって交通事故や渋滞を未然に防ぎ、誰もが安全に運転できる交通環境を維持するためのシステムとしてITS(Intelligent Transport Systems)の構築が進んでいます。
カメラによるスピード違反や信号無視等の交通違反の検出、落下物検知や渋滞認識、経路誘導など、安全な自動車社会に向けたさまざまな取り組みが進んでいます。
活用事例
ナンバープレート認識
高速道路でのスピード違反検出やETCの料金管理、駐車場での車両管理などの場面で、車両のナンバープレートを認識するニーズがあります。車の撮影環境に応じた最適なイメージセンサーの選択が求められます。
高速走行の車両を撮影、及び照明を用いて撮影する場合
高速で走行する車両を撮影する場合、ゆがみなく撮影が可能なグローバルシャッター方式イメージセンサーを使用します。また、夜間など暗い場所で照明を補助光として使う場合、グローバルシャッター方式イメージセンサーを使用することで、照明の照射時間を短くすることができます。ローリングシャッター方式イメージセンサーの撮影に比べて照明の消費電力を低く抑えることができ、省エネかつランニングコストの削減にもつなげることができます。
シャッター方式と照明の照射時間の違いによる撮影画像への影響
グローバルシャッター方式が全画素情報を同時に取得するのに対して、ローリングシャッター方式は、画素情報を水平方向のラインごとに取得しています。そのため、同じ露光時間でも、ローリングシャッター方式の場合は、グローバルシャッター方式に比べて必要な照明の照射時間が長くなります。照明の照射時間が全画素の露光時間をカバーできない場合、画像の一部に照明が当たっていないように見え、不自然な明暗さが生じてしまうフラッシュバンドと呼ばれる現象が発生することがあります。
車が高速で走行する場面(およそ120km/h以上)の撮影、あるいは照明の点灯時間を短くしたい場合には、グローバルシャッター方式のイメージセンサーが適しています。
低速走行の車両を撮影する場合
一方、ローリングシャッター方式イメージセンサー搭載カメラの方が、グローバルシャッタ―方式に比べて一般的には感度が高く*1、安価であるため、一般道など車の速度がおよそ120km/h以下の低速走行の車両を撮影する場合は、ローリングシャッター方式イメージセンサーが選ばれることもあります。
*1) 同じ画素サイズで比較した場合
広範囲を撮影したい場合
ナンバープレートの認識に必要なイメージセンサーの画素数は、撮影対象までの距離、車の速度、画角、照度などによって異なります。
複数の車線がある道路を一度にモニタリングする場合、多画素のイメージセンサーを使うことでカメラや照明の台数を最小限にとどめ、初期設置のコストダウンや設置場所の削減(カメラ配置の最適化)、さらに長期的な視点でのメンテナンスコストの削減にもつなげることができます。
たとえば、下記の撮影例のように、高架に取り付けられたカメラで3レーンを同時に撮影する場合は、被写体までの距離も遠く、画角も広くなるため、800万画素(8M-pixel)以上のイメージセンサーが求められます。
3つのレーンを走行する車両を撮影する際の撮影例と、ナンバープレートの画像比較
2M-pixel カメラ × 3台 | 2M-pixel カメラ × 1台 | 8M-pixel カメラ × 1台 | |
---|---|---|---|
解像度 | 高い | 低い | 高い |
コスト パフォーマンス |
悪い | 良い | 良い |
道路モニタリング
屋外の撮影では、夜間の低照度や逆光など、さまざまな厳しい環境にさらされます。
高速道路では、渋滞や気象状況、落下物や事故の検知など、いかなる環境下でも状況を的確に把握し、交通規制や現場への救急車/パトカーの派遣などをただちに判断しなければなりません。
低照度環境下で撮影する場合
夜間などの厳しい照度条件下では、高感度なSTARVIS / STARVIS 2技術搭載イメージセンサーが適しています。
STARVIS 2技術搭載なし
STARVIS 2技術搭載
上記のように、STARVIS 2技術を搭載したイメージセンサーで撮影した画像では、街灯がほとんどなく、車のヘッドライトのみの光の少ない場所でも、車体の形状をはっきりと認識することができます。
逆光の環境下で撮影する場合
明るい部分と暗い部分が共存する逆光の環境には、広いダイナミックレンジを持つイメージセンサーが適しています。HDR(High Dynamic Range)機能を用いることで、白飛びすることなく、動きのある被写体でもクリアに撮影することができます。
HDR機能 オフ
HDR機能 オン
- 逆光での撮影に適した広いダイナミックレンジを持つSTARVIS 2搭載イメージセンサー:IMX585, IMX678
高感度を実現する技術、白飛びしない機能について詳しくはこちら : STARVIS / STARVIS 2技術
専用レーン*3での車内の人数確認
交通の取り締まりにおける定点カメラでの観測では、時間帯や角度によってフロントガラスに光が反射し、車内の人の姿を認識できないことがあります。偏光イメージセンサーを適切に設定することで、反射光の軽減や除去をおこない、車内の人数を検知することが可能になります。
*3) HOVレーン(High Occupancy Vehicle lane)などの、車内人数規定のある優先走行車線。
定点カメラから車内を撮影した例
一般的なカメラで撮影
偏光イメージセンサー搭載カメラで撮影
一般的なカメラに偏光フィルターをつけて反射光を取り除くこともできますが、被写体の車種(窓の角度)によっては反射光が残ります。偏光イメージセンサーを使うことで、車種に関わらず反射光を取り除くことができ、車内の認識の精度が向上します。詳しくは、以下の動画およびこちらのページをご覧ください。
資料ダウンロード
偏光を利用した反射除去の原理と偏光イメージセンサーの特長
偏光イメージセンサー技術の詳細をご紹介します。
偏光イメージセンサー 概要
偏光イメージセンサーについてまとめた2ページの情報です。
偏光イメージセンサー搭載カメラリスト
偏光イメージセンサーが搭載されたカメラの一覧はこちらからダウンロードいただけます。
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